2019年10月から始まる「年金生活者支援給付金」いくら貰える?

受取れる対象者には自宅に日本年金機構から緑色の封書が届きます。

給付金を受け取るには、請求書(ハガキ)の提出が必要です。2019年4月1日時点で年金を受給している人のうち、給付金支給要件を満たす人には、9月上旬から順次請求書が発送されます。

低年金者向けに10月分から月5,000円前後の年金生活者支援給付金が年金とは別に給付

国民年金には今は約年間12兆円の国庫負担(税金)が投入されています。全額、基礎年金に投入されています。これは今の国民年金からの給付である基礎年金の半分に相当します。基礎年金の2分の1は税金でできているという事ですね。

なので国民年金保険料令和元年度保険料月額16,410円を全額免除しても税金分が受け取る事ができます。例えば極端な話、20歳から60歳前月までの国民年金強制加入期間を全く保険料支払わずに、全額免除していたとしても老齢基礎年金の満額780,100円の390,050円は支給されるという事になります。

ちなみにちょくちょく、今まで支払った保険料の元は何年でとれるのかという事が話題になったりしますが、ザックリ言うと10年ほどで元が取れます。今の国民年金保険料が16,410円で、16,410円×480ヵ月=7,876,800円だから、年金として受け取るのが780,100円なので、年金で割ると7,876,800円÷780,100円=10.09年という事になります。

本来は支払った保険料に対して20年で元が取れるようになってるというのが保険の世界ではありますが、なぜたった10年で元が取れてしまうのかというと、冒頭で申し上げたように半分が税金でできているからです。もし税金が投入されていなければ、保険料は16,410円の2倍の32,820円を支払う計算になり、32,820円×480ヵ月=15,753,600円の保険料を支払う。年金額が780,100円とすると、支払ってきた保険料15,753,600円÷年金780,100円=20.19年となる。

よく未納にするのは損だというのは、未納だと税金分すら受け取れないからです。老齢の年金は終身だから、終身で放棄する事になる。せっかく巨額の税金が投入されているのにその分の受け取りを拒否してるのと同じだから。

ところで、2019年10月からは年金とは別に支払われる年金生活者支援給付金というのが始まります。年金生活者支援給付金は低年金者への消費税対策として、2019年10月から消費税が10%になるのでその消費税を財源として支給されるものです。この給付金は今まで支払ってきた保険料期間や免除期間によって給付額が決まるので、未納が多い人ほど今まで以上に損な事になります。

というわけで今回は年金生活者支援給付金について見ていきましょう。

1.昭和29年5月16日生まれの女性(今は65歳)

● 何年生まれ→何歳かを瞬時に判断する方法!(参考記事)
● 年金加入月数の数え方一例(hirokiまぐまぐニュース参考記事)

18歳年度末の翌月である昭和48年4月から昭和54年8月までの77ヶ月間は厚生年金に加入。この77ヶ月間の平均給与(平均標準報酬月額)は24万円とします。なお、20歳に到達する昭和49年5月から国民年金老齢基礎年金の計算に含む。←ココ注意しとってください。

昭和54年9月から公務員と婚姻し、専業主婦となる。公務員の専業主婦は国民年金に強制加入ではなかったが、任意加入する事はできた。任意加入しなかったが受給資格期間最低10年に含むカラ期間にはなる。任意加入せずにカラ期間となったのは、昭和54年9月から昭和61年3月までの79ヶ月間

昭和61年4月からはそういう強制加入ではない専業主婦も強制加入となって国民年金第3号被保険者となる(年間見込み収入額にもより3号にならない場合もあります)。夫が退職する平成10年2月までの143ヶ月間が国民年金第3号被保険者期間

平成10年3月から平成18年9月までの103ヶ月間は未納。平成18年10月から60歳前月である平成26年4月までの91ヶ月間は国民年金保険料全額免除とした。なお、平成18年10月から平成21年3月までの30ヶ月間の全額免除は老齢基礎年金の3分の1に反映し、平成21年4月から平成26年4月までの61ヶ月間は老齢基礎年金の2分の1に反映する。

さて、この女性は60歳(平成26年5月の翌月分)から厚生年金が貰える生年月日の人ですが、年金加入期間の条件を満たしておく必要がある。更に65歳前の厚生年金が支給されるには少なくとも1年以上の厚生年金記録が必要。平成26年5月時点では年金受給資格期間は原則として25年以上(300ヵ月以上)無いといけなかった(平成29年8月から10年に短縮)。


保険料納付済期間は厚生年金期間77ヶ月+国民年金第3号被保険者期間143ヵ月=220ヵ月。保険料免除期間は91ヶ月間。カラ期間は79ヶ月間。


有効な年金記録は平成26年5月時点で220ヵ月+91ヵ月+79ヵ月=390ヵ月≧300ヵ月だったので、60歳から貰えてる人。

ところで、この女性は61歳の時に将来の老齢基礎年金を増やすために国民年金の任意加入を市役所で申し出た。65歳までの48ヶ月間任意加入したものとします(直近10年以内の免除期間は追納せず)。60歳からの年金はこの記事では省いて、65歳(令和元年5月)からの年金総額を算出します。

  • 老齢厚生年金(報酬比例部分)→24万円×7.125÷1,000×77ヵ月=131,670円
  • 老齢厚生年金(差額加算)→1,626円(令和元年度価額)×77ヵ月-780,100円÷480ヵ月×64ヵ月(20歳になる昭和49年5月から昭和54年8月までの期間)=125,202円-104,013円=21,189円
  • 老齢基礎年金→780,100円(令和元年度満額)÷480ヵ月×(20歳以降の厚年期間64ヵ月+3号期間143ヵ月+任意加入48ヶ月間+平成21年3月までの全額免除期間30ヵ月÷3+平成21年4月以降の全額免除61ヵ月÷2)=780,100円÷480ヵ月×295.5ヵ月=480,249円

あと、夫の配偶者加給年金から振り替えられた振替加算は56,799円(この女性の生年月日による令和元年度価額)とします。

● 加給年金と振替加算(日本年金機構)

よって、65歳からの年金総額は、

  • 老齢厚生年金(報酬比例部分131,670円+差額加算21,189円)+老齢基礎年金480,249円+振替加算56,799円=689,907円月額57,492円

なお、65歳以上の老齢基礎年金受給者で、世帯全員が住民税非課税、前年の公的年金等収入(非課税年金の収入は含まない)+前年所得≦779,300円であれば令和元年10月から年金生活者支援給付金の対象となる事を聞いていた。令和元年10月から年金生活者支援給付金が支給される事になり、請求書も出した(初回振り込みは令和元年12月13日)。いくらの年金生活者支援給付金が支給されるのか。

この女性は保険料納付済期間(20歳未満60歳以降の基礎年金に反映しない厚生年金期間除く)が64ヵ月+第3号143ヵ月間+任意加入48ヵ月=255ヵ月。全額免除期間が91ヶ月間あるので、この期間で年金生活者支援給付金額を算出する。未納期間やカラ期間は計算に含まない

  • 年金生活者支援給付金→5,000円(基準額)÷480ヵ月×255ヵ月+10,834円(免除の場合の基準額)÷480ヵ月×91ヵ月=2,656円+2,053円=4,709円(月額)
  • 年額は4,709円×12ヵ月=56,508円

よって、令和元年10月からの年金総額は689,907円年金生活者支援給付金56,508円746,415円月額62,201円)となる。なお、給付金は年金口座に一緒に振り込みますが、別々の名称で振り込まれる。

追記

前年の公的年金等収入+前年所得が779,300円を超えた場合はどうなるのかとうと、879,300円までは補足的な給付金が支給される。例えば、事例の女性の前年の年金収入+前年所得が84万円になったとします。となると以下の計算で給付金を支給する。

  • (879,300円-前年の年金と所得等84万円)÷(879,300円-779,300円)=0.393(調整率)
  • 補足的年金生活者支援給付金→5,000円(基準額)÷480ヵ月×保険料納付済255ヶ月間×0.393=1,043円(月額)

補足的年金生活者支援給付金を計算する時は免除期間は含まない。前年所得などで給付金額が変わったり停止される場合はその年の8月分から翌年7月分までの変更または停止となる。20歳前障害基礎年金が所得制限で停止される場合の期間と同じですね^^

 

給付金の請求スケジュールと請求手続き

給付金を受け取るには、請求書(ハガキ)の提出が必要だ。2019年4月1日時点で年金を受給している人のうち、給付金支給要件を満たす人には、9月上旬から順次請求書が発送される。

2019年4月2日以降に新規で年金を受給される人には、年金の新規裁定請求に合わせて請求をしてもらう。2018年12月末より、事前受付を開始している。

2020年1月以降に請求した場合は、請求した月の翌月分から支払いとなる。12月分の給付金は給付されないので、速やかな請求手続きが必要だ。

【請求手続き】

1.封筒に同封してある請求書を、切り取り線に沿って切り離し、氏名などを記入

2.目隠しシールと切手を貼り、郵便ポストに投函
・2019年10月※以降に、支給決定通知が到着
・支払いの月の上旬に、振り込み通知書が到着

3.受給している年金に、給付金を上乗せして支給
12月中旬※の支払いとなる。
※提出時期により、上記日程は異なる。
・給付金の支払いは、2カ月分を翌々月の中旬に年金と同じ口座に、年金とは別途支払い。
・例えば、10月分と11月分を、12月中旬(年金の支払い日と同日)に振り込む。
・2020年1月以降に請求した場合は、請求した月の翌月分から支払いとなるので、速やかな請求手続きを行なうこと

専門家がポイントを解説!CFP、社会保険労務士 井戸美枝氏

年金生活者支援給付金制度は、月額5,000円を基準額に、年金生活者の生活資金を支援/補填する年金連動型の給付金制度です。

10月の消費増税と同じタイミングで開始され、増税による負担の軽減を一つの狙いとしています。

消費増税は、年金生活者にとっては、大きな痛手とも言えます。なかでも高齢者は、クレジットカードやポイント還元サービスの使い方がわからないといった方が多い上、地方では、個人商店やタクシー等、まだまだクレジットカードが利用できない場所も多く、増税による支出の増加は、生活への影響が大きいと言えます。

そんな年金生活者の暮らしを支援すべく開始される、年金生活者支援給付金制度を理解し、きちんと受け取るためのポイントを紹介します。

受給には所定の手続きが必要。請求書(ハガキ)が来たら、すぐに提出を

年金生活者支援給付金の受給に際しては、所定の請求手続きが必要です。1回の手続きを踏めば、要件を満たす限り恒久的に振り込まれるため、何より1回目の手続きを確実に行うことが重要と言えます。

2019年12月を過ぎて請求した場合、請求後の分しか受け取れないため、可能な限り早めの手続きをおすすめします。

既に老齢基礎年金を受け取っている方、障害基礎年金・遺族基礎年金を受け取っている方も新たに手続きが必要となるため、注意が必要です。

老齢基礎年金受給者のほか、障害基礎年金、遺族年金受給者も対象です

「年金」というと、一般的には高齢者が対象となるイメージがありますが、年金生活者支援給付金は、遺族年金、障害年金の受給 者も対象になります。該当する方は、手続きを忘れないように注意しましょう。

支給額は「一律で5,000円」ではありません

「5,000円」はあくまで基準額です。年金生活者支援給付金は、年金と連動する制度のため、免除や特例利用の有無、その他の 条件により支給金額は異なります。
また、本制度に便乗した犯罪・詐欺も予想されますので、十分に注意してください。

請求書は、「日本年金機構」から「緑色の封書」で来ます

国からのお知らせがメールで送られてくることは無いのと同様に、本制度に関するお知らせが、電話やメール等で来ることは絶対にあり ません。

また、差出人は「日本年金機構」であり「●●市役所」や「年金事務所」から送られてくることもありませんので、請求書は、 「日本年金機構」からの「緑色の封書」であることを必ず確認してください。

詐欺の手口に多く見られる「代行業者」も存在しません。 社会保険士・社会労務士を名乗る者から連絡があった際も、対応しないようにしてください。

受給にあたり、新たな「銀行口座」は必要ありません

年金生活者支援給付金は、年金と同じ銀行口座に振り込まれるため、受給にあたって、新規の銀行口座は必要ありません。万一 口座番号を尋ねられても、絶対に教えないようにしてください。

わからなければ、自身で解決しようとせずに家族や窓口に相談を

受け取った請求書の内容が少しでも怪しいと感じた際は、請求書に記載されている番号には電話をかけないようにしましょう。

請求 書自体がニセ物であった場合、被害に巻き込まれる可能性が高まります。電話をかける際は、必ず請求書とは別の場所で、正しい 電話番号を探すこと。

ご家族に相談したり、最寄りの年金事務所に直接行くのも手です。詐欺被害を防ぐため、該当する方が親族 にいる場合は、正しい情報を知り、教えてあげてください。

1回きりの給付金はこれまでにもありましたが、今回の、年金生活者支援給付金制度は、受給条件を満たせば、恒久的にもらえる、 といった部分が大きなポイントです。生活の予算設計に組み入れやすいため、生活の一助にしやすい制度かと思います。

年金制度と同様、滞納期間等があるとその期間分の支給がされないため、年金を納めることが難しい場合には免除/納付猶予制 度等を活用し、きちんと手続きを行うようにしましょう。