貧困老人にならないため、40歳から絶対始めるべき「終活」メニュー

人生の終わりに備えた活動のことを俗に「終活」などと称しているが、議論の対象となっているのは、たいていが60歳以上の高齢者である。

だが筆者は人生100年時代だからこそ、終活はできるだけ早くスタートするのがよいと考えている(一般的に終活というのは、相続や墓地など、より具体的な準備について指す言葉かもしれないが、ここでいう終活は、もう少し広い意味で捉えていただければよい)。

生涯労働社会においては、人生の前半と後半で、仕事や家庭生活に対する価値観を大きく変える必要がある。前半戦から後半戦へのシフトはスムーズな方が望ましく、そのためにも40代から広い意味での終活を始めるべきである。

年金は70歳から支給開始となる

政府は2018年11月26日に行われた未来投資会議などの合同会議において、あらたな成長戦略の中間報告を取りまとめた。その中で、現在65歳までとなっている企業の継続雇用年齢について「70歳までの就業機会を確保する」とし、事実上、生涯労働制にシフトする方針を打ち出した。

日本の公的年金は賦課方式といって、現役世代から徴収する保険料で高齢者の生活を支える制度なので、社会の高齢化が進むと年金制度の維持が難しくなる。現時点において年金受給者への支払額は、現役世代からの徴収額を大幅に上回っており、年金財政は慢性的な赤字である。

賦課方式による年金は、その仕組み上、給付を極限まで下げれば制度そのものが破綻することはないが、それでは事実上、年金として意味がなくなってしまう(時折、制度として破綻しないという話と、十分な年金が受け取れるという話を意図的に、あるいは無自覚的に混同した主張が見られるので注意が必要である)。

今後の公的年金の維持可能性については、前提条件によって変わってくるものの、現在の経済・財政状況が継続した場合、筆者は2割から3割の年金減額は避けて通れないと考えている。

老後の生活を年金のみで支えるのは事実上困難であり、政府も基本的には同じ考え方に立っている可能性が高い。政府が急ピッチで生涯雇用に向けて環境を整備している背景にはこうした事情がある。

現時点で政府は年金の70歳支給開始について直接、言及していないが、生涯雇用についてメドが立ち次第、支給開始年齢の70歳引き上げに着手する可能性が高いだろう。

終活を40歳からスタートすべき理由

一連の社会保障制度改革については、様々な意見があるだろうが、今の財政状況でこの流れを回避することは難しく、わたしたちは、生涯労働を前提に人生設計を行う必要がある。

一生涯、働き続けるとなると、60歳(あるいは65歳)で定年となる現在のキャリアパスは根本的に見直す必要が出てくる。これまでは、退職金と年金で老後の生活がある程度、成立するということが大前提であり、死亡するまでの期間もそれほど長くなかったので、現役時代の収支を大きく変える必要はなかった。

だが年金の支給開始が遅くなり、しかも金額が減額されるということになると、従来の感覚における現役時代の生活スタイルでは、老後の収支は合わなくなってくる。生涯雇用制度によって何らかの仕事に就ける可能性は高くなるが、体力的な問題もあり、若い時のような労働を続けることは現実的に不可能だ。

そうなってくると、高齢者の領域に入る前に、できるだけ生活をコンパクトにしておくことが必要となる。

現時点においても、生活のコンパクト化は、老後の生活を左右する重要なポイントである。筆者は職業柄、老後の資金はいくら必要かという質問を受けることが多いのだが、老後に必要な資金は人によって異なるので、絶対的な正解はない。むしろ大事なのは老後にいくら必要なのではなく、現役時代にどの程度の支出になっていたのかである。

年金生活に入る前に生活をコンパクトに出来た人は、年収が減ってもそれほど大きな影響を受けないが、現役世代にメタボな生活を続け、それを解消しないまま年金生活に突入した人は、たいていの場合、収支が悪化して、まとまったお金を取り崩す羽目になる。

すぐに今の生活を切り詰めることはできないかもしれないが、10年くらいの助走期間があれば、支出を減らし、生活そのものをコンパクトにすることは十分可能である。老後の準備は40歳から始める必要があるという話にはこうした背景があると考えて欲しい。

自分のキャリアを客観的に把握する

人生後半への備えは、キャリアに関する部分と、家庭生活に関する部分に大別できる。

70歳までの継続雇用が企業に対して義務付けられた場合、企業は総人件費の増大という大きな問題に直面する。企業は所定の利益を確保するため、若手から中堅までの社員に対しては、昇給の抑制をさらに進める可能性が高いだろう。50歳以上の社員については、一定以上のポストに就いていない人を管理職から外すという、いわゆる役職定年をさらに強化すると考えられる。

現時点における60歳以上の社員の処遇については、定年制を廃止するのではなく、再雇用という形で雇用を保障するパターンが多いが、70歳までこれが延長されれば、その傾向はさらに顕著となるだろう。同じ会社に在籍しているといっても、年収は大きく下がり、仕事の内容も自由に選択できるとは限らない。

会社組織がピラミッドである以上、部長から役員へと昇進できる人は限られている。同じ会社にいられたとしても、多くの人が事実上のキャリア転換を迫られるということであれば、それに対する備えをしておくに越したことはない。

40歳を過ぎたあたりから、自分はどの程度、会社で昇進できるのか、おおよそ見えているはずなので、そのコースに乗っていないと感じている人は、意識して後半戦のキャリア形成を考えた方がよいだろう。

もっとも大事なのは、自分の職業経験が今後も何らかの形で業務に生かせるのかという点である。どのような職種にせよ、経験値が重要な役割を果たすケースは多く、専門知識が活用できるのであれば、大きく仕事を変える必要はない。年齢が高くなると、どうしても体力的な面では不利になるので、できるだけ知恵で勝負できるよう工夫したい。

「地域デビュー」は早いほうがいい

同じ会社の中で、経験値を生かせる部署があれば理想的だが、そうでない場合には転職を考える必要も出てくるだろう。一般的に中高年からの転職はそう簡単ではないが、70歳までの雇用が義務付けられれば、労働市場のあり方も変わってくる。それなりの経験値やスキルのある人物であれば、そして年収についてかなりの妥協ができる人であれば、仕事がまったく見つからないという可能性は低い。

年収を下げても大丈夫ということは、支出も少ないということであり、この話は、後述する家庭生活のコンパクト化と密接に関わってくる。

一方で、職種によっては、これまでのキャリアが生かせないというケースも出てくるだろう。その場合には、まったく違った仕事に就くことも想定しなければならない

人によっては副業でその感触を確かめる必要があるかもしれないし、求人に関する基本的な情報収集も必要となる。焦って決めるわけにもいかないので、やはり数年の猶予期間は必要である。40歳に入ったあたりから、会社の仕事をこなしつつ、後半戦ではどのような仕事に就けばよいのかじっくり検討すればよいだろう。

人によってはシニア起業を考えている人もいるかもしれない。筆者は起業の経験もあるので断言できるが、シニアになってからの起業はできるだけ金銭的リスクが少ない方がよい。飲食店など先行投資が多い業種は避け、多額の資金を必要とせず、自身の体や知恵だけで勝負できる業種に絞った方がよい。

一般的にはネットを使った集客ということになるだろうが、一方で、地域社会にも意外とニーズは転がっている。マンションの管理組合など地域の集まりに積極的に顔を出すことで交友関係が広がり、結果として何らかの仕事につながる可能性もある。地域に馴染むのにも時間がかかるので、デビューは早ければ早いほうがよい。

とりあえず40代に入ったら、上記を強く意識して行動した方がよいだろう。50代以降の人は、時間が少ないのでなおさらである。

一連のキャリア再構築は、家庭生活のコンパクト化と同時並行することで、大きな相乗効果が得られるが、家庭生活のコンパクト化については次回に解説したい。

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