老後貧乏を避けるには「40からの人間関係コンパクト化」が絶対必要だ

前回は人生100年時代を見据え、ポジティブな意味で40代に入った時点で終活をスタートするのが望ましいという話をした(一般的に終活というのは、相続や墓地など、具体的な準備について指すことが多いが、本稿では老いに対する備えというもう少し広い意味で使っている)。

企業の中で高い役職まで出世できる人はごく一部という現実を考えた場合、人生後半戦でのキャリアに対する考え方は大きく変わってくるはずだ。

これに加えて家庭生活も40代以降は、徐々にコンパクトなものに変えていく必要がある。老後になって経済的に苦労するのは、たいていがメタボな生活を見直せなかった人である。人生の後半戦をコンパクトに過ごすことができれば、老後に対する心配も大きく減るだろう。

現役時代の給与が減る

これまでの日本社会は、一定以上の規模の会社に入れば終身雇用が保障され、年齢に応じて給料が上がるのが当たり前だった。このため歳をとるほど支出が多くなり、家計がメタボになるのもごく普通のこととされた。

しかしながら、年金の減額がほぼ必至となり、事実上の生涯労働システムに移行しつつある今、年功序列の給与体系は維持できなくなる可能性が高い。

現時点において、日本の給与所得者の平均年収から擬似的に算出した生涯年収(大学卒業後60歳まで勤務と仮定)は約1億8000万円である(これは全体の数値なので男性に限ると約2億3000万円になる)。従業員を70歳まで雇用する場合、企業は人件費総額の増大を強く警戒するので、生涯年収を増やさないよう、現役時代の給与を引き下げる可能性が高い。

もっとも削減効果が大きいのは中高年社員なので、一定以上のポストに就いていない人を管理職から外す、いわゆる役職定年を強化するとともに、高齢者については、再雇用という形で雇用を保障する代わりに年収を引き下げる措置を実施するだろう。

再雇用でも給与は大幅に下がる可能性が高い

仮に、55歳から役職定年がスタートし、60歳以降は、従来の現役世代の6割に年収が下がると仮定した場合、35歳以降は基本的に昇給しない給与体系にしないと企業は総人件費の増加を抑制できない。

さすがに35歳で昇給ストップはないだろうが、40歳以降というのはかなり現実的な数字だ。あくまで給与所得者全体のマクロ的な数字であり、個別のケースは様々だろうが、出世しない限り40歳以降は昇給しない社会が到来しつつあるのは間違いない。

そうだとすると、家計の支出もそれに合わせて40歳前後の経済状態を標準形とし、その状態を維持する方策を考えなければ、収支が赤字に転落してしまう。

家計の「3大支出」を見直す

筆者は、職業柄、老後の生活にはいくら必要かと質問されることが多いのだが、老後の生活にいくら必要なのかは、老後を迎える段階で、家計の支出をどの程度まで抑制できたのかで大きく変わってくる。現役時代のメタボな家計をスリム化できず収支が赤字になるケースは多い。

40歳以降は理屈上、大幅に給料が増えないのが現実である以上、家計もそれに合わせる必要があるのだ。筆者が40歳からの終活が必要と説明しているのは、そういった意味でもある。

では具体的に生活をスリムにするためには、何をする必要があるだろうか。

この連載では何度か触れているが、家計の3大支出は家、クルマ、保険であり、このいずれかに手を付けなければ大きな効果は得られない。子供がいる世帯では教育費がこれに加わってくる。

自動車メーカーにとっては非常に厳しい話だが、これからの時代はクルマを所有することは贅沢という位置付けになるだろう。このところカーシェアのサービスが急速な勢いで普及しており、トヨタ自動車ですら、各地の販売店網を使ったカーシェアのサービスに乗り出す方針を固めている。

クルマがないと移動がままならないという地域に住んでいる人以外は、必要な時にクルマを利用する形にライフスタイルを変える必要がある。

保険も同様である。高額の生命保険に加入するより、夫婦が共働きであることの方がリスクヘッジの効果は圧倒的に大きい。むやみに保険に頼るのではなく、総合的にリスクを管理していくことが重要だろう。

マイホームを検討している人は、中古を選択肢から外すのは現実的ではない。不動産は今後、利便性の高い場所とそうではない場所との二極分化が進むので、価値が下がらない物件を選ぼうとすると値段は上がる。取得コストを下げるためにも、中古について積極的に検討した方がよい。

人間関係のコンパクト化がもっとも重要

支出をできるだけ抑制し、家計をコンパクトにするのはもちろんだが、筆者はこれに加えて、家の中にあるモノや、外部の人間関係もコンパクトにする必要があると考えている。

人の経済活動とモノの量は基本的に比例している。いろいろなことに手を広げすぎていると、当然、身の回りには関連したモノが増えてくる。人生の後半戦はキャリアを見直す時期なので、それまでの生活で当たり前だった習慣についても見直しの対象とし、場合によってはバッサリと切り捨てる決断をした方がよい。

もっともシンプルな例では、ゴルフはやらないと決めれば、ゴルフ道具は必要なくなり、その分のスペースは別なことに活用できる。必要なスペースが減れば、同じ家賃でより利便性の高い場所に転居することもできるし、同じ物件に住むにしても、部屋の空間を広く確保できる。

なぜ部屋のスペースについて言及したのかというと、人は年齢が上がっていくと、同じ行動を取るためにより広いスペースが必要となり、そうした状況に間取りが対応していないとケガのリスクが増えるからである。

若い時であれば、クローゼットの奥にしまってあったモノを無理な姿勢で引っ張り出すことができたかもしれないが、老後にはそうした無理はきかなくなる。家のスペースに余裕がないと、あちこち不用意にぶつけるようになり、転倒などのリスクが増える。

高齢者が家の中での転倒をきっかけに要介護に陥るケースはかなり多い。家の中をシンプルにしておくことは、高齢化リスクのヘッジにもなるのだ。

人生のコンパクト化はゆっくりとそして着実に

先ほどのゴルフ用品の話からも推測できると思うが、所有するという行為は、その人の交友関係と関連性が高い。不必要な人脈が多い人ほど、余分なモノが多く、身の回りが整理されていない可能性が高い。

キャリアの見直しというのは、人間関係の見直しでもある。

優先度の低い交友関係とは距離を置き、今後の人生において重要度が高いと思える人にリソースを集中するのが望ましい。結果として、自身の持ち物も整理されてくるはずであり、一連の整理が進んでくると、たいていの場合、食生活も大きく変わる。ムダな会食は減っている可能性が高いので、やはり支出の抑制につながるだろう。

生活のコンパクト化やキャリアの見直しについてあまり急ぐ必要はない。40代の間にメドを付ける程度の時間感覚でよいので、ゆっくりと、そして着実に進めることが大事である。

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