低所得者に逃げ場なし。欧州よりも日本人の生活が苦しくなるワケ
日経平均「423円安」は日本要因
2018年10月16日
安倍首相が本当に言っているのでしょうか。「消費税10%へ引き上げ」のニュースが流れています。日本経済が持ちこたえられるとは思えない状況で、日経平均は423円安と大幅に下落しました。
日経平均が大幅に下落したことについて、大手メディアでは米国が為替条項(通貨安誘導の抑止)を求めていることが理由とされています。
しかし、この下落は、明らかに消費税の引き上げに対する反応です。
日本経済は、国民の低所得化が進み、内需が落ち込んでいます。さすがにこの状態での消費税10%への引き上げは、日本国民や日本経済にとどめを刺すことになるでしょう。
安倍首相にも逆風
国民もとてもこのままでは暮らしていけないということで、この流れであれば、政局も不安定化するでしょう。
自民党の総裁選で「3選」を果たしたばかりの安倍首相ですが、消費税には慎重に対処しないと、すぐに「政局」になる(政変につながる状況)でしょう。
逆に、安倍政権の追い落としを画策するには、消費増税はかっこうの政権批判材料となります。
これまでアベノミクスを進めてきて、デフレ脱却に取り組んできた努力が、あっという間に消えてしまいます。
国民は低所得化や貧困化にあえいでいますから、このままでは「政局」になるでしょう。
消費税が上がると逃げ場がない日本国民
日本と欧州が違うのは、日本の方が「自腹」で払うことが多いことです。
欧州では、教育費・低所得者支援などで、消費税(類似の税)が高くても「自腹」で支払わないで済む部分が多いのです。
日本の方が、お金の出たり入ったりが頻繁で忙しく、その都度、消費税がかかるということです。
また、先日も当メルマガで書きましたが、日本は食料品価格が高い。正確には、低所得層が買う食料品が高いので、国民の「逃げ場がない」ということです。
欧州の食料品は「税抜き価格」が安い
欧州では、フィンランドのように食料品価格が安く、日本よりも消費税の負担が重くても、税込価格が日本に比べて安い食料品がたくさんあるのです。
例えば、ヨーグルト1個の価格。日本では100円ぐらいでも、欧州では、国によっては、半額の50円ぐらいという感じです。
ですから、消費税(類似の税)が、例えば10%とか20%であっても、食料品価格がそもそも安いので、日本より安く買えるということです。
高い税金があっても、1個60円ぐらいなら、日本に比べて生活は楽ですね。
ですから、商品全体の3割ぐらいの範囲までで、価格が3割ぐらい安い外国の食料品があれば、消費税が10%でも生活できるということです。
安倍政権の支持率が大きく下がる?
安い食料品価格の選択肢がないと、低所得者は追い詰められます。
ですから、多くの国民の所得が増えない中で消費税がさらに上がると、安倍政権には不利となり、「政局」にもなりかねません。
さすがに、日経平均423円安は大幅な下落です。



日経平均株価 日足(SBI証券提供)
欧米のクラッシュが波及という感じではない中で、これだけ下落すると、大きな意味があります。
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