手取り「393万円」…日本の正社員「平均給与」の暮らしぶり

国税庁の調査によると、正規社員の平均給与は年間503万円「令和元年分 民間給与実態統計調査」)、手取りにすると393万円ほどです。平均なので、この金額より大幅に高い層が押し上げている可能性を考えると、ピラミッド型のように低い層も大量にいることが予測されます。年間で手取り393万円だと、どのような暮らしぶりになるのでしょうか。その実態に迫ります。

月の手取りは「約33万円」となる

日本人の平均給与503万円、手取りは年収で約393万円、月収で約33万円となります。家賃は手取りの1/3から1/4くらいが良いとされていることを考えると、8.5万円〜11万円くらいでしょうか。都内周辺の1人暮らしの家賃相場は、1Kなら7万~8万円ほどなので、贅沢しなければ十分に暮らせそうです。

 

ちなみに「平成28年賃金構造基本統計調査」によると、新卒の初任給は平均20万6,700円。社会保険料などを引かれたら、手取りは18万円に満たない状況です。月収、手取りで15万円ほど増えるにはどれくらいかかるか……と考えると「平均」になるのは、かなり難しく感じます。

 

そんなハードルの高い「平均」ですが、実際にはどのような暮らしぶりになるのでしょうか。手取り33万円から35万円の範囲のサラリーマンに話を聞きました。

「子どもの心に、大人の財力」で老後の備えはナシ

34歳、エンジニアとして働く神谷さん(仮名)の貯金は50万円だそうです。

 

「家賃は7.5万円、食費や光熱費もだいぶ節約しています。合計で3万円くらいかな。そのぶん、毎月趣味に費やしてしまっていますが。多いときで月20万円くらい使っちゃったことありますよ。平均だと月12〜13万円くらいですかね。貯金は50万円くらいしかありません。ビットコインとか買ってみたいけど、税金がめんどくさいと聞いて、手を出せていません」

 

老後のための備えは考えているのでしょうか。

 

「老後って言ってもまだまだ先だし、ちょっと考えられないですよね。その前に結婚とか、子どもが生まれたら教育とか、お金がかかりそうですし。現在の貯金も余った分がプールされているだけで、“何かのために計画的に”というワケではないですね。欲しいものがあったら買っちゃうし、疲れたら仕事辞めようと思うので、そのときのために。とりあえず、“子ども心に、大人の財力”をモットーに、好きなことに好きなだけお金をかけて人生を楽しもうと思っています」

家賃「13万円」だが、電気代は「2千円」と節約

31歳、外資系企業で働く三宅さん(仮名)の貯金は100万円程度とのこと。

 

「こだわっているというわけではないのですが、部屋は良いところに住みたくて、家賃は13万円かかっています。少し高いと自分では思っています。そのかわり他は節約していて、電気代は月2千円くらいにおさえられています。使わないコンセントは抜いているし、必要のないエリアはブレーカーまで落としています。エアコンはほぼ使いません。ちなみに、トイレは小では流しません」

 

そこまで節約するのは、老後資金を貯めるためなのでしょうか。

 

「電気代とか上下水道代とかを節約するのは、苦ではないからしているだけで、貯金は100万円程度しかありませんよ。車のローン、駐車場代・ガソリン代などの維持費が結構きついですね。洋服なんかはほとんど買わないですけど。同年代で老後のために貯めている人ってほとんどいないんじゃないかな。とりあえずNISA口座は作って少しは運用していますけど、“将来のため”というわけではないですね。少しくらいは投資を学ばないと、という気持ちでやっています」

親がオーナーの部屋に住み、悠々自適の生活

制作会社に勤務する35歳の三島さん(仮名)は、父親が所有するマンションに住んでいるため、貯金は溜まる一方だそうです。

 

「金融資産で1,200万円くらいはありますかね。株の含み益があるのでもう少し膨らんでいるかもですが。家と部屋はリフォーム済みのものを相続でもらう予定なので、自分で不動産を買う必要はないのですが、頭金入れて自分でもワンルーム投資もやってみようかなとも考えています」

 

将来への備えは盤石のようですが、どのような暮らしぶりなのでしょう。

 

「仕事は忙しいですが、楽しく働いています。とくにコロナでリモートになったことで、自分のペースでできるようになり、効率は上がっていると感じます。両親が“孫の顔が見たい”とうるさいので探しているのですが、こっちのほうはどうもうまくいきません。出会いがないので結婚相談所にも登録してみましたが、なかなか希望通りとはいかず。長男ということで敬遠されている向きもあるかもですね、悲しいことに。差別ですよね」

「三代相続すると資産は失くなる」

同じ「平均」の手取りでも、資産状況は人によってだいぶ変わることが浮き彫りになりました。とくに親が土地持ちなどの資産家だと、資産運用に回す資金も潤沢にあり、生活も悠々自適な様子です。「持つものはさらに持つようになる」という傾向が資本主義にはありますが、改めて資産家が強い社会だということがよくわかります。

 

それでも「三代相続すると資産は失くなる」と言われるほど日本の相続税は高くて有名ですので、「持つもの」も知識武装し早期の対策が必要なことは間違いありません。

 

今回はそこに到るまでもハードルの高い「平均」年収の人たちの暮らしぶりにスポットライトを当ててみましたが、結婚・子育て・親の介護・自身の老後……と全てに備えるほどの資産を、「自身の労働」だけから捻出することはかなり厳しいという現実が見えてきました。