年金生活中の70代「貯金はいくらあれば人並みか」

いよいよ今年4月に「高年齢者雇用安定法」の一部が改正・施行されます。

これにより従業員が希望すれば、事業主は70歳まで雇用することが努力義務化されることになりました。

これからは、70歳からが本格的な老後生活ということになるかもしれませんね。

70代以上の人はでどれくらい貯蓄を確保して老後生活に臨んでいるのか、気になります。

私は大学卒業後、信用金庫での勤務経験があり、FPの資格を持つファイナンシャルアドバイザーとして、多くの方のファイナンシャルプラニングに関わってきました。

そこで今回は、年金生活真っ只中の70代以上は、どれくらい貯蓄をもっていたら人並みかについて、見てみたいと思います。

70代の平均貯蓄額と中央値はいくらか

さっそく70歳代の平均貯蓄額と中央値を見ていきたいと思います。

金融広報中央委員会実施の「令和2年(2020年)家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]」の結果によると、金融資産を保有していない世帯を含む70歳以上の世帯の平均貯蓄額と中央値は以下の通りです。

平均貯蓄額:1786万円
中央値:1000万円

中央値とは、貯蓄額が少ない順、あるいは大きい順に並べたとき、全体の真ん中にくる人の金額を表しています。

平均値は、一部の極端に貯蓄が多い人の値に影響されてしまい、値自体が大きくなりがちです。一方、中央値は金額によって影響されることがないため、より実態を反映した値と言われています。

平均値と中央値で大きな差があることが分かります。

人並みの貯蓄額を準備しておこうと思うと、少なくとも1000万円は準備する必要がありそうです。

次に貯蓄額別の世帯分布についてみてみたいと思います。

この平均値と中央値には貯蓄ゼロ世帯も含まれている点は注意が必要です。

それでは、金融資産を保有していない世帯を含む70代以上の世帯の金融資産保有額別の割合を見てみたいと思います。

  • 金融資産非保有:18.6%
  • 100万円未満:4.3%
  • 100~200万円未満:4.1%
  • 200~300万円未満:2.6%
  • 300~400万円未満:3.0%
  • 400~500万円未満:2.6%
  • 500~700万円未満:6.5%
  • 700~1000万円未満:6.3%
  • 1000~1500万円未満:11.9%
  • 1500~2000万円未満:8.0%
  • 2000~3000万円未満:10.4%
  • 3000万円以上:19.0%
  • 無回答:2.6%

70代以上の金融資産の保有状況から、金融資産を持っている世帯と持っていない世帯の「老老格差」が見える結果となりました。

定年後はゆとりのある生活を送りたいと思うならば、働いている今のうちからコツコツとお金を貯めて準備を始める必要があると言えるでしょう。

人生100年時代、現役時代からお金対策をする

人生100年時代がすでに到来しています。

一方で日本人の健康寿命は男性が72.14歳、女性が74.79歳というデータがあります。

そうすると、私たちはおおよそ70代から30年程度お医者さんにかかりながら過ごしていくことになるのでしょうか・・・。これでは医療費の負担がかさみそうです。

老後は収入が年金収入のみになってしまう人が多いでしょう。

老後に入る前に貯蓄を備えておくことで、安心やゆとりのある老後を送ることができます。

できれば働いているうちに少しでも資産を積み立てておくべきと言えます。

老後のために、どうすればお金を貯められるか

お金をコツコツ貯蓄していかなければならない、ということを分かっていてもなかなか貯められないという人も多いでしょう。

そのため、はたらく世代の私たちは、自動的にお金が積み立てられる方法をおすすめします。

例えば、最近話題のイデコは、毎月積み立てた掛金が全額所得控除を受けられることがメリットですが、積み立てた資金を原則60歳まで引き出すことができません。

これは一見デメリットに見えますが、自動的に積み立てて簡単に引き出せないようにしたい人にはメリットになるでしょう。

もちろん、途中で引き出せないので、緊急用の資金は別に銀行預金で積み立てておいたほうがいいですね。

また、貯蓄型の保険も毎月必ず保険料を支払わないといけないという強制力を利用して貯蓄することができます。

更に保険は万が一の時の保障が付いていますので、いざというときの安心感があるのでおすすめです。

おわりにかえて

今回は70代以上の貯蓄額から、どれくらい準備しておけば人並みかを見てきました。

しかし、人並みの貯蓄を準備したからといって、ゆとりのある老後が迎えられるとは限りません。

特に70代以上でも貯蓄を持っている人と持っていない人の差が激しいことがわかりましたので、平均値や中央値は参考程度に思っておくほうがよいでしょう。

ゆとりある老後にむけて、現役時代のときから老後の資金形成プランをしっかりと立てて準備する必要があります。

自分ではお金のことはよくわからないという人は、「お金のプロ」であるファイナンシャルアドバイザーに相談することが一番の近道と言えるでしょう。

最近では無料のマネーセミナーがオンラインで気軽に受講できるサービスも充実してきています。

これを機に資産運用を始めてみるのはいかがでしょうか。