年金も収入もアップする「定年後に得する資格」8選

定年後に「どれだけ稼いでも年金減額されない」ようにするには、「厚生年金に加入しない働き方」をすることが重要だ。そうすれば、年金を早くから受給して得することができるからだ。そのためのポイントは何か。ファイナンシャル・プランナーの大沼恵美子氏はこう解説する。

「独立・開業して元の会社と業務委託契約を結ぶ際、交渉を有利に運ぶ決め手の一つが、『資格』です」

都内の電気工事会社に長年勤めた63歳の男性は、60歳の定年時に勤務先との間で、特別支給の「老齢厚生年金」が受け取れる年齢(62歳)まで雇用を延長し、受給開始後は個人事業主として仕事を受注する契約を交わした。それにより、在職老齢年金によるカットを免れる働き方を実現したのだ。

この男性が「“武器”になった」と振り返るのは、在職時に取得した【1】第三種電気主任技術者(電験三種)という国家資格だ。

オフィスビルや大規模マンションでは法令上、電気設備の運転管理や点検作業に有資格者の立ち会いが求められる。工事が重なる時期に貴重な戦力となることから、この男性の申し出を、会社も快諾したという。

「資格の取得とともに、現役時代からの得意分野で、知識や人脈を最大限活用する考え方が大切です。再雇用や再就職でも同じで、定年前のキャリアを活かして収入が増えれば、仕事への意欲も湧く好循環が生まれます」

年金も収入もフルに確保する“得する資格”は他にもある。資格に詳しいフリーライターの日向咲嗣氏は「月額16万~20万円の収入が目指せるビル・マンション関連は狙い目」と続ける。

「オフィスビルや商業施設の管理には清掃だけでなく、電気やボイラー設備の点検・整備がつきものです。70歳以降でも需要がある電験三種があればより有利ですが、合格率9.1%の難関です。まずはより取得しやすい【2】第二種電気工事士(合格率1次51.8%、2次63.4%)や【3】二級ボイラー技士(同57%)から始める方法もある」

【4】マンション管理士の資格試験は受験者の2割が60歳以上だ。法令や実務を問う試験の合格率は8%を割り込む狭き門だが、取得によって独立開業や収入アップは目指せる。

55歳以上向けの就職支援講座を開く東京しごとセンター(東京都千代田区)によれば「実際の求人で資格が条件となることはほぼありませんが、集合住宅の管理業務の仕事に就いた後に取得し、その後、条件のよい物件にステップアップする人もいる」(総務課)という。

“趣味”が武器になる

ビル・マンション管理などの仕事は都市部に多い傾向があるが、反対に地方都市でニーズが高いのが運転代行だ。ここでも「資格」の有無で収入が変わってくる。

「『伴走者』と『代行者』の2人1組で客を送迎しますが、自社の車を運転するだけで、普通自動車運転一種免許で足りる伴走者は時給900円前後。これに対しタクシーと同じ【5】自動車運転二種免許を必要とする代行者は同1000~1200円になる。しかも業務委託なら収入が増えても年金はカットされないし、定年がなくて70歳以降も働き続けられるのです」(同前)

全国で減少を続けるガソリンスタンド業界では、反比例するように“定年後の人材”の存在感が増している、と日向氏は話す。

「地方を中心に増加するセルフ式でも【6】乙種第4類危険物取扱者が1人以上いなければガソリンを販売できない。年齢を重ね店内を動き回るのが難しくとも、資格があれば需要はある」

また、前出の大沼氏は「趣味が高じてとった【7】DIYアドバイザーや【8】2級造園施工管理技士を持っていると、ホームセンターの販売の現場では重宝されている」

定年前から持ち味を磨いておくこと──それが年金と仕事による収入を“最大化”するためのカギとなる。

※週刊ポスト2019年4月26日号