年金「月14万円」…手取り28万円労働者の「残酷すぎる老後」

「下流老人」「老後破産」…なんとも辛い言葉が多くなった昨今。老後に必要なお金、貯められていますか? 『令和元年度「生活保障に関する調査」』より、日本人の生活設計について見ていきます。

将来のお金準備できてる?…「いいえ」半数超の衝撃

「人生100年時代」「老後破産」「老後資金2,000万円」……少子高齢化に伴い浮き彫りになる「日本人の老後問題」。公益財団法人生命保険文化センターは、『令和元年度「生活保障に関する調査」』で日本人の貯蓄状況について調べている。

 

将来のためのお金、実際のところ貯められているのだろうか?

 

同調査の「あなたは、ご自身やご家族の将来をどのようにしたいか、そのための経済的な準備をどうしたらよいかといった、具体的な生活設計を立てていますか」との問いに対し、「生活設計あり」と回答した人は37.0%、「生活設計なし」とした人は55.7%となっている。

 

その内訳を性・年齢別を見ていくと、男性で「生活設計あり」と答えたボリュームゾーンは40代で41.2%、一方で「生活設計なし」が最も多かったのは30代で62.4%であった。女性で「生活設計あり」と答えたボリュームゾーンは60代で43.3%。一方で「生活設計なし」が最も多かったのは20代で68.5%となった。

 

また同調査を性・世帯年収別に見ていくと、「生活設計あり」ともっとも答えたのは男女ともに年収700万円以上の世帯であり、「生活設計なし」が多かったのは年収300万円未満の世帯であった。

 

ちなみに国税庁の『令和元年分 民間給与実態統計調査』によると、給与所得者のなかで正規社員の平均給与は503万円である。年収500万円~700万円未満の層で「生活設計あり」と答えたのは男性39.3%、女性40.1%。平均年収の層ですら、生活設計をしているのは半数以下という厳しい現実が見て取れる。

「生活設計あり」って実際何年先のことまで考えてるの

同調査では「生活設計あり」と回答した人に、何年先までの生活設計を考えているのかをアンケートした。

 

結果「5年以下」5.7%、「6~10年」21.8%、「11~15年」8.6%、「16~20年」28.0%、「20年超」25.9%、「わからない」10.0%と、「16~20年」が最多となった。

 

30代~40代が老後の暮らしを考えた結果なのだろうか? 生活設計の期間を性・年齢別に見ていくと、男性の場合、20代の生活設計期間で最も多いのは「6~10年」と「20年超」、30代「20年超」、40代「16~20年」、50代「16~20年」、60代「11~15年」となっている。

 

女性の場合は、20代・30代・40代の生活設計は「20年超」が最多となり、50代・60代では「16~20年」がボリュームゾーンになっている。男性と比べ、年齢による生活生活設計の差はあまり見られない結果となった。

「経済的余裕がない」…老後に必要な資金のことなんて

同調査では「生活設計なし」と回答した人にその理由を聞いている。もっとも多いのは「経済的余裕がないから」30.3%、そして「将来より現在の生活が大切だから」18.3%、「なんとか暮らしていけるから」12.7%と続いている。

 

なお1年を通じて勤務した給与所得者の平均給与は「年収436万円」。年収436万円だと毎月の給与は36万円、手取りは28万円ほどになる。単身者が節約に励み、ようやく月数万円の貯金ができるといったところか。子どもを抱える世帯などには貯蓄が難しいことは容易にうかがえる。「経済的余裕がないから」が3割超えなのも何ら不思議な話ではない。

 

では老後は年金暮らしで…と考えたいところだが、厚生労働省『平成30年度厚生年金保険・国民年金事業の概況』によると、厚生年金保険(第1号)受給者は3,530万人で、受給者平均年金は月額約14万6,000円(男性約16万5,000円・女性約10万3,000円)。「年金+α」での生活が求められていることは間違いない。手取り28万円で貯金をせずに老後に至ったら、極めて厳しい生活が待っている。

 

「自助努力」。コロナ禍で何度聞いてきた言葉だろうか。人生100年時代と謳われる今、投資による資産形成も注目が高まっているが、それは余裕資金があってのこと。「貯める」ことすら難しい日本社会の残酷な現実を、直視していく必要がある。