年収1000万円超でも破綻寸前…高給取り会社員の厳しい惨状

年収1000万円を超えるとなると、会社員のなかでもひと握りという印象を持つ人が多いでしょう。しかし実際は贅沢をしなくてもお金が足りない、というのが現状です。そんなカラクリを受託ローンの返済シミュレーションなどから紐解いていきます。

年収1000万円超会社員…新築マンションを購入したら

会社員であれば、誰もが高給取りに憧れるもの。どこからが高給となるかは業種や職種などで変わってくるでしょうが、桁が変わる「1000万円」はひとつの基準ではないでしょうか。

 

国税庁の調査によると、所得税納税者を対象に「給与所得1000万円以上」と申告している人は、256.1万人ほど。全体の4.8%になります。ちなみに厚生労働省『令和元年賃金構造基本統計調査』によると、平均年収が1000万円を超える、高給取りな職種は129職種のうち3職種。「航空機操縦士」「医師(勤務医)」「大学教授」です。

限られた人だけが到達できる、年収1000万円の壁ですが、当の本人に聞くと、生活はそれほど楽ではない、との声。一般庶民からしてみたら「自慢か!」とツッコみたくなりますが、どういうことなのでしょうか。

 

年収1000万円の場合、平均的な賞与、4ヵ月分をもらっているとすると、月給は62万5000円ほど。手取りは50万円弱となります。

 

総務省『家計調査 家計収支編』2020年によると、平均的な(世帯主)年収1000万円世帯は以下のような世帯です。

 

【年収1000万円会社員の平均世帯像】

世帯人数 3.55人
世帯主の年齢 49.6歳
世帯主の配偶者のうち女の有業率 56.7%
持ち家率 85.5%
平均畳数(持家) 38.1畳

仮に東京で新築マンションを購入しているとしましょう。通常、マンション購入の適正価格は、年収の5~7倍といわれていますから、年収1000万円であれば5000万から7000万円の価格帯のマンションということになります。

 

不動産価格が高止まりし、億ションも珍しくない東京において、5000万~7000万円のマンションというと、意外と庶民的なレベルといった印象でしょうか。家族4人とすると、3LDK以上は欲しいところ。都心では予算オーバーになってしまうので、山手線外で探してみます。

 

見つけたのは、世田谷区「桜新町駅」徒歩15分の新築マンション、3LDKで価格は6500万円。国土交通省『令和元年度住宅市場動向調査』によると、新築マンションの購入者のローン比率は60.6%。そこで4000万円は、金融機関の住宅ローンを活用するとします。返済期間は、定年前に完済したいと考え20年。返済方式は元利均等、当初金利は0.6%、5年目以降の金利は1.5%として考えていきます。

 

その場合、利息は463万2045円で、返済総額は4463万2045円。月々の支払額は、当初5年は17万6908円、5年目以降は18万8986円。少々厳しいでしょか。ちなみに返済期間を30年とすると、返済総額は4786万7336円となり、月々の返済額は当初5年は10万2560円、5年目以降は9万4988円となります。

年収1000万円超会社員…子供を私立中学に通わせたら

大きな出費は住宅ローンだけではありません。子供の教育費もかなりの額になります。

 

文部科学省『平成30年度子供の学習費調査』によると、幼稚園では公立で約64万円、私立で約158万円、小学校では公立で約192万円、私立で約959万円、中学校では公立で約146万円、私立で約421万円、高等学校では公立で約137万円、私立で約290万円がかかります。

 

さらに文部科学省『国立大学等の授業料その他の費用に関する省令』、『私立大学等の令和元年度入学者に係る学生納付金等調査』で大学の学費を見ていくと、初年度、国立大学の納付金は81万7800円、私立大学は文系で117万2582円、理系で154万9688円。4年間では、国公立大学で250万円ほど、私立大学文系で400万円、私立大学理系で550万円程度の費用が必要です。

 

中学受験をして、エスカレーター式で大学まで通うことを考えてみましょう。経済産業省の『平成30年特定サービス産業実態調査』によると、東京都の学習塾費用は平均48万2218円。中学受験を見据えて塾に通わせる場合、小学校4年生から通うケースが多いので、3年間通うとなると、トータル150万円は覚悟しておく必要があります。

 

受験をクリアし内部進学が叶っても、希望のコースをゆくには競争は熾烈です。高校3年生まで同様に塾に通うことを考えると、子供1人大学を卒業するまでに1800万円、月平均7万5000円の出費となります。住宅ローンと合わせると、手取り額の半分以上が住宅ローンと教育費で消えていってしまうわけです。

 

仮に手残りが20万円だとしましょう。これで家族4人の生活費をかかなわなければいけません。食費に10万円、光熱通信費に5万円……と足していくと、いわゆる「お父さんのお小遣い」は、世間並かそれ以下、になります。パートナーの給与もあてにしないと、とてもやっていけません。世帯主の年収1000万円世帯でも、5割以上でパートナーが働いている、というのは、このような事情からなのでしょう。

 

このように見ていくと、意外に昼時に隣で牛丼でも食べている会社員が、実は年収1000万円超の高給取り、ということも珍しくないのかもしれません。