平均年収436万円でもらえる年金額はいくら? まじめに払ってもツラい現実

厚労省の調査によると、世帯主が50代の場合、貯蓄額は平均1049万円ほど。ただ、一方で貯蓄ゼロ世帯は14.8%もあり、実に6世帯に1世帯が「貯金ゼロ」というのが現実だ。そんな彼らを待つ老後とは、いかなるものなのか。年金だけで暮らす場合の家計簿を作成した。

老後2000万円問題が世間を賑わせ、国民の多くが自分の預金額に頭を抱えてから早2年。国税庁が前年発表した民間給与実態調査によれば、日本人の平均年収は436万円と前年に比べて僅かに減少しており、貯蓄はよりしにくい環境になっている。

綻びはすでに見えていた。厚労省が’17年に発表した「国民生活基本調査」によると、世帯主が50代の世帯における貯蓄ゼロの割合は14.8%。6世帯に1世帯は貯蓄ゼロ、あるいはマイナスの生活をすでに強いられているのだ。

ファイナンシャルプランナーの大西真人氏が語る。 「多くの世代の方から相談を受けますが、50代は子供の教育資金や家のローン、各種保険料など、なにかと出費が嵩む時期。ここまで貯蓄できなかった人がその後、急にできるようになるケースを私はほとんど見たことがありません。貯蓄ゼロで50歳まできてしまったら、その後もゼロのままで推移するのが常。よって貯金ゼロ円で65歳を迎えることになる人は潜在的にもっといると考えるのが妥当で、今より増えると予想されます」

必要な金額は月20万円

平均的なサラリーマンの場合、65歳時にもらえるであろう年金の手取り額は夫婦で15.5万円ほど。これは先に挙げた日本人の平均年収を基に算出した数字だが、「一般的な生活を送るために必要な金額は月20万円。これは総務省が発表している数字です。そのため、平均年収で貯金ゼロのまま老後に突入してしまった場合、年金のみで生計を立てるのはかなり困難ですね……」と大西氏。とはいえ、それが起きる現実はすぐそこまで迫っている。  では、年金のみで暮らす生活というのは、どれほどのものなのか。大西氏の協力のもと編集部で家計簿を作成した。

<年金15.5万円世帯の家計簿>

住居費… 4.2万円

食費… 4万円

水道光熱費… 1.3万円

交通/通信費… 2万円

生活日用品… 1.2万円

医療費… 0.5万円

夫の小遣い… 1万円

妻の小遣い… 1万円

貯金… 0.3万円

[貯金ゼロ円]の老後

高齢者の平均的な支出との比較

※手取りが15.5万円だった場合の標準的な家計簿。高齢者の平均的な支出との比較すると、15.5万円では全項目において資金が足りない

住居費4.2万円。食費4万円

賃貸の場合、住居費に充てられるのは4.2万円。食費は夫婦で4万円。医療に回せるのは5000円ほどと、数字で見るとそのシビアさが浮き彫りになる。月のおこづかいが夫婦で2万円と、いくばくかの余剰金があるのが一筋の光明だ。  この余剰金をどこに振り分けるかは各人の好み次第だろう。年金のみで生きていく場合、どれほどの家を借りられて、どんな食生活を送り、年1回旅行するならどんなプランが実現できるのか。また受けられる医療や亡くなった後の葬儀はどんなものになるのか。  他人事ではない貯金ゼロ老後のシビアな現実が待っているのだ。

数字で見る高齢者世帯のリアル

●貯金ゼロ円世帯率…14.8% ●1か月の生活費夫婦ふたりで15.5万円 22歳から60歳までの就労期間中、毎年436万円稼ぎ続けた場合、65歳になって受け取れる年金受取額(厚生年金含む)は17万2000円。うち1万7000円は税金・社会保険料。そこから引くと、手取りは夫婦ふたりで15.5万円となる

●平均余命 夫 19.83年 妻 24.63年 上記は65歳時点の平均余命(厚労省発表)。年金生活に入った後も、夫は約20年、妻は約25年間生きていかなければいけない

●健康寿命 夫 72.14歳 妻 74.79歳 健康寿命とは「健康上の問題で、日常生活を制限されることなく過ごせる期間」。厚労省の調査では男女ともに健康寿命は70代だった

●歯の残存本数 20~21本 歯の状態は老後の健康と大いに関わりがあるが、65歳になると男女ともに、もともと28本あった歯は20本程度になる(厚労省発表)

貯金ゼロ。平均収入だった年金生活者の限界値

先の家計簿から、夫婦の小遣いをそれぞれ1万円から5000円に減らし1万円の余剰金を捻出。そこから導き出した使える限界値。葬儀・墓は貯蓄から積み立てた33万円と、国保加入者が受け取れる葬祭金7万円を足した額。この額以上は使うことができないのだ。

住居… 5.2万円

食費… 5万円

旅行… 1万円

葬儀・墓… 40万円

医療費… 1.5万円

【大西真人氏】 ファイナンシャルプランナー。南青山にてFP会社を経営。数々のメディア出演の他、YouTubeチャンネル「まさとFP」やVoicyを通してお金に関する情報を日々発信している