年金の保険料は何歳から支払い始め、いくら支払わなくてはならないのだろうか。そして、年金はいつから、どれくらい支給されるのだろうか。公的年金に関する時期とお金について解説する。
年金は何歳から支払うものなのか
年金は何歳から何歳まで支払うものか、国民年金と厚生年金に分けてみていこう。
国民年金の保険料支払い期間
国民年金の保険料は満20歳(20歳の誕生月)から、満60歳になるまで(未払い期間がない場合は59歳11カ月まで)の40年間支払うものである。
つまり480カ月支払うと満額を受け取ることができるが、未払い期間がある場合は満額から未払い月数分が差し引かれた金額しか受け取れないことになる。
※(例えば55歳で会社を「早期退職」して、以降は無職でも国民年金保険料の請求は毎年届きます。毎年確定申告をしていたらその年収に従って請求金額も変わります。)
受け取る老齢基礎年金(国民年金)を満額に近づけたい場合は、保険料の免除や猶予の承認を受けている場合に限り、10年以内に未払い分を追納(後払い)することで穴埋めすることができる。
また、10年を超えてしまった未払い分は追納することができないが、任意加入制度というものを利用して、満60~65歳未満の5年間、保険料を支払うことで満額に近づけることができる。
つまり、国民年金の保険料は、満20~65歳未満の間の480カ月を超えない期間、支払うことができると言える。
なお、25年(300カ月)以上支払わないと年金受給資格はもらえないが、2017年10月以降はその資格期間が短縮され、10年(120カ月)以上支払えば、支払った月数分の年金をもらえることになる。
厚生年金の保険料支払い期間
一方、厚生年金は国民年金と異なり、一定の年齢になったからといって加入するものではない。
常時、従業員を使用する会社に勤務し、就業規則や労働契約に定められた所定労働時間と所定労働日数の4分の3以上を満たす70歳未満の従業員は、厚生年金被保険者となる。
また、2016年10月以降は、所定労働時間と所定労働日数の4分の3未満の従業員でも、次の5つの条件を満たす場合は厚生年金被保険者となることになった。
- 1年以上の雇用が見込まれていること
- 週の所定労働時間が20時間以上
- 賃金の月額が8万8000円以上
- 常時501人以上の企業に勤務していること
- 学生でないこと
なお、年齢に下限はないので、未成年でも条件を満たす場合は厚生年金被保険者となる。また、国民年金とは異なり加入上限期間もないので、70歳未満で条件を満たす場合は厚生年金被保険者となることができる。
厚生年金は1カ月でも加入していれば支払い額に応じて年金が支払われる。ただし、国民年金加入期間と合わせて25年以上(2017年10月以降は10年以上)になっていることが条件となる。
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いくら支払うのか
国民年金保険料は年度によって若干異なり、まとめて前払いすると割引が適用され、少し安くなります。
国民年金保険料は平成16年度の制度改正により平成29年度まで段階的に引き上げられることになっていました。以下は平成22年度からの保険料推移です。
国民年金保険料の推移 | |
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平成22年4月~ | 14,980円 × 1.008(改定率) = 15,100円 |
平成23年4月~ | 15,260円 × 0.984(改定率) = 15,020円 |
平成24年4月~ | 15,540円 × 0.964(改定率) = 14,980円 |
平成25年4月~ | 15,820円 × 0.950(改定率) = 15,040円 |
平成26年4月~ | 16,100円 × 0.947(改定率) = 15,250円 |
平成27年4月~ | 16,380円 × 0.952(改定率) = 15,590円 |
平成28年4月~ | 16,660円 × 0.976(改定率) = 16,260円 |
平成29年4月~ | 16,900円 × 0.975(改定率) = 16,490円 |
平成30年4月~ | 16,900円 × 0.966(改定率) = 16,340円 |
平成31年4月~ | 17,000円 × 0.965(改定率) = 16,410円 |
平成29年度に制度改正の上限金額である16,900円に達したことから、平成30年度は据え置きとなりましたが、実際の保険料は名目賃金の変動(改定率)が反映され16,340円と前年度より150円低い金額となります。
平成31年度以降は新たに成立した年金改革法(平成28年)を受けて、100円プラスの17,000円、改定率を計算した実際の金額は16,410円となります。
厚生年金保険料は給料から天引きされるので、厚生年金被保険者自身があえて支払う必要はない。給与によって保険料が変わり、保険料の半額を厚生年金被保険者が、残りの半額を厚生年金被保険者の勤務先の事業主が負担することになっている。
厚生年金は国民年金を包括する制度なので、厚生年金被保険者は国民年金保険料を支払う必要はない。
また、厚生年金被保険者が配偶者を扶養している場合(配偶者の年収に制限あり)は、配偶者は国民年金第3号被保険者となるので国民年金保険料の支払いは免除される。
年金の支給は何歳から?
老齢基礎年金(国民年金)も老齢厚生年金(厚生年金)も、いずれも原則的には満65歳から支給が開始される。
早く受け取りたい場合は受給予定額の30%減額となるが満60歳から受け取ることができ、遅めに受け取りたい場合は受給予定額の30%増額した額を満70歳から受け取ることができる。
老齢基礎年金や老齢厚生年金とは別に、厚生年金受給資格者で生年月日によっては報酬比例部分の年金を早く受け取ることができる。
1941年4月2日~1953年4月1日生まれの男性と1946年4月2日~1958年4月1日生まれの女性は満60歳から報酬比例部分の年金を受給できる。
1953年4月2日~1955年4月1日生まれの男性と1958年4月2日~1960年4月1日生まれの女性は満61歳から報酬比例部分の年金を受給できる。
1955年4月2日~1957年4月1日生まれの男性と1960年4月2日~1962年4月1日生まれの女性は満62歳から報酬比例部分の年金を受給できる。
1957年4月2日~1959年4月1日生まれの男性と1962年4月2日~1964年4月1日生まれの女性は満63歳から報酬比例部分の年金を受給できる。
1959年4月2日~1961年4月1日生まれの男性と1964年4月2日~1966年4月1日生まれの女性は満64歳から報酬比例部分の年金を受給できる。
いくら支給されるのか
まず、国民年金から支給される老齢基礎年金の受給額についてです。 答えは「上限あり」。 その額は78万100円(令和元年度)です。 国民年金(基礎年金)は日本国内に住所があると、20歳から60歳まで強制的に加入(保険料を支払う)することになります。
一方、老齢厚生年金は退職までの給与所得額によって、それまで支払ってきた保険料が異なるため、それに伴い受け取る額が大きく異なる。
厚生労働省が発表した「厚生年金保険・国民年金事業の概況(平成 30 年 1 月現在)」では、平成30年1月末の厚生年金保険(第1号)の受給者に係る老齢年金の平均年金月額は、14万7,240円となっている。
年金を受け取るための手続きも重要
年金の支払い期間や受給額を知ることも大切だが、老齢年金はその時期になれば自動的に支払われるものではなく、自らが請求しないと支払われない。
そのため、時期が来たら年金事務所などで正しく手続きをすることが大切だ。自分の支給開始年齢をきちんと確認し、適切な時期に年金を受け取るための手続き(年金請求)を行うようにしよう。(ZUU online 編集部)