「国民年金」受給開始のタイミング…損益分岐点は?【シミュレーション】

公的年金は、基本的に65歳から受給開始となり、その場合の満額支給額は毎月6万4,816円です(2022年度)。ただし、受取額は変わるものの、希望すれば60歳から受け取ることも、反対に75歳から受け取ることもできるため「どのタイミングで受給を開始すべきか」という議論が後を絶ちません。今回、年金の受給開始時期を繰り上げた場合、繰り下げた場合でそれぞれシミュレーションしていきます。

年金受給年齢…素直に65歳からもらうべきか

ひと口に「公的年金」といっても、原則日本国内に住んでいる20歳以上60歳未満の人全員が加入している「国民年金」と、会社員や公務員などが国民年金とともに加入する「厚生年金保険」に分かれています。

 

国民年金部分にあたるものは「老齢基礎年金」「障害基礎年金」「遺族基礎年金」、厚生年金部分にあたるものは「老齢厚生年金」「障害厚生年金」「遺族厚生年金」と呼ばれています。

 

自営業者など国民年金のみに加入している人は、毎月定額の保険料を納付。会社員や公務員など厚生年金に加入している人は、毎月定率の保険料を会社等と折半で負担、保険料は毎月の給料から天引きされます。会社員や公務員の扶養配偶者は、厚生年金制度全体で保険料を負担します。

 

老後にはすべての人が老齢基礎年金を手にし、厚生年金に加入していた人は、さらに老齢厚生年金を受け入れることができます。ほかにも障害年金や遺族年金といった制度もあります。

【国民年金の被保険者の分類】

1.第1号被保険者

日本に住む20歳以上60歳未満の人のうち、自営業者、学生など、第2号、第3号被保険者とならない人はすべて第1号被保険者となる。

 

2.第2号被保険者

70歳未満の会社員、公務員や私立学校の教職員

 

3.第3号被保険者

厚生年金の被保険者(第2号被保険者)に扶養されている(年収が130万円未満、かつ、配偶者の年収の2分の1未満)20歳以上60歳未満の配偶者

 

さらに、支給開始年齢の65歳で受け取らず、60歳から65歳未満で年金を受け取る「繰り上げ受給」を選ぶことも、66歳から75歳までの希望する時期から受給開始する「繰り下げ受給」を選ぶこともできるのです。

 

「繰り上げ受給」では受給開始月を1ヵ月繰上げるごとに0.5%、1年で6%、5年で30%ほど年金額が減ります。「繰り下げ受給」では反対に、1ヵ月繰下げるごとに0.7%ずつ、1年の繰り下げで8.4%、最長の5年で42%ほど年金額が増えていきます。増えたり減ったりした年金額は、生涯変わりません。

繰り上げ・繰り下げ受給の「損益分岐点」は何歳?

では、年金を5年繰り上げて受給開始した場合と、5年繰り下げて受給した場合……それぞれについてシミュレーションしてみましょう。

 

まずは、通常どおり65歳から受給を開始した場合をみていきます。2022年度の満額受給額は6万4,816円(以降6万5,000円として算出)、年間で77万8,000円です。つまり、70歳で466万7,000円、75歳で855万6,000円、80歳で1,244万5,000円、85歳で1,633万4,000円となります。

 

次に、5年繰り上げて60歳から受給開始した場合、倍率は0.76%、毎月の受取額は4万9,000円、年間59万1,000円となります。つまり、65歳で総額354万7,000円、70歳で650万2,000円、75歳で945万8,000円、80歳で1,241万4,000円、85歳で1,536万9,000円となります。

 

5年繰り下げて70歳から受給開始した場合、倍率は1.42%、毎月の受取額は9万2,000円、年間110万4,000円となります。つまり、75歳で662万7,000円、80歳で1,214万9,000円、85歳で1,767万1,000円となります。

 

こうしてみると、繰り上げ受給の場合は79歳、繰り下げの受給の場合は81歳がそれぞれ損益分岐点となります。ちなみに、同様の算出により75歳から受取を開始した場合、86歳が損益分岐点となります。

 

もちろん、自分が「あとどれくらい生きるのか」は誰にもわかりませんし、年金は損得ではないため、一概に「何歳から受給すべき」とは言えません。それぞれがどのような老後を実現したいかによって、受給開始の時期を選択するとよいでしょう。